研究道具箱 カードと研究

IT

IoT(モノのインターネット)

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研究概要

BABA Hiroyuki

東京大学 生産技術研究所

馬場 博幸

BABA Hiroyuki

専門分野:分散エネルギー資源活用工学

研究室WEB

インターネットを介して、機器が連動

どんな技術?

インターネットの端に機器がつながって、互いに情報をやり取りする仕組みがIoTInternet of Things、モノのインターネット)です。たくさんの機器がネットワークにつながることで、自然災害への対応や高齢者の生活支援など、さまざまな場面で機器が連動することが期待されています。

 

例えば、「地震が来たら、ガスコンロが消え、玄関ドアが自動的に解錠する」というIoTサービス。外部のサーバーから緊急地震速報が自動で発信され、インターネットを介してその情報を受けたガスコンロの火が消え、玄関の鍵が開くことで、火災が減り、人々が避難しやすくなると期待されます。

 

しかし、多くの機器がメーカー独自の閉じたインターネット利用環境(クラウド)に接続され、それぞれのアプリで制御されているため、異なるメーカーの機器を連携させるには多くの手間がかかっていました。そこで私たちは、異なるクラウド同士や、アプリとクラウド、機器とクラウド間を接続するサービス「IoT-HUB」を作りました。

 

複合サービスが作りやすくなった上、連携がうまくいかない時に、機器に問題があるのか、インターネット上の問題なのかなど、原因を究明しやすくなったり、実績データを蓄えて活用したりと、想定以上の効果が上がっています。

 

IoTを活用した電力需給システムも開発中です。猛暑日が続くなど電力需給がひっ迫」すると、電気自動車の電池残量データが制御アプリに送られ、残量に余裕がある場合には充電の抑制や停止の指令が送られ、需要を抑えます。一方で、晴天で太陽光発電による電力供給が多すぎる時間帯には、自動的に充電を始め、需要を増やします。これまでは、需要に応じて電力会社が供給量を変化させていましたが、供給量に応じて需要を自動で調節するしくみを目指しています。実現すれば、発電量の変動が大きい再生可能エネルギー(自然変動電源)を、もっと活用できる社会になるでしょう。

将来はどうなる?

あらゆる機器がインターネットに繋がって自動で動き、便利な社会になるでしょう。しかし、サービスを作る人がすべての組み合わせを検討しているわけではないため、不都合を生み出す場合もあります。

 

例えば、留守にもかかわらず、緊急地震速報を受信して玄関ドアの鍵が開いてしまうと、泥棒に入られる可能性もあります。天気が良い時にエアコンを止めて窓を開けるサービスは、ゲリラ豪雨に弱いかもしれません。このような、IoTが実現したからこそ起きる問題を探し、要因をなくしたり、発生確率や被害の程度を減らしたり、適切な保険制度を作ったりといった対処法も、IoTの技術開発と並行して検討を進めています。

他のカードとの相性は?

例えば…

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センサーをいけすに付けて、自動給餌。決まった日に決まったサイズの魚を市場へ提供。

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道路の混雑状況をとりまとめ、自動車の走行を制御し、全体最適を目指す。

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さまざまな機器からリアルタイムでデータを吸い出し、仮想空間上に街の状況を再現。

東京大学生産技術研究所にある実験住宅”COMMAハウス”(http://www.commahouse.iis.u-tokyo.ac.jp/)でのIoT実験の様子