研究道具箱 カードと研究

健康

分子センサー

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研究概要

MINAMI Tsuyoshi

東京大学 生産技術研究所

南 豪

MINAMI Tsuyoshi

専門分野:超分子材料デザイン

研究室WEB

特定の分子の有無や濃度を確認

どんな技術?

特定の分子の有無や濃度を教えてくれるチップ(またはデバイス)が、分子センサーです。

 

分子やイオン、細菌やウイルスは目には見えませんが、人間にとって良くも悪くも影響を与えるものが多く、その存在を簡単かつ短時間で調べたいという要望は高まっています。しかし、現代の技術ではそれらを検出する場合、電子顕微鏡や分析装置などを使うことがほとんどです。専門家は、特殊な知識が必要で高価な装置を使えますが、家庭で日常的に使うことは非現実的。そこで、色が変わったり光ったりして、調べたい対象の存在を教えてくれる試薬を基板上に載せた、分子センサーを開発しています。

 

一般の人が使うことが前提なので、基板の材料も試薬も、身近で安価なものを活用することが大切です。しかし、それがなかなかうまくいきません。分子センサーの研究は世界中で行われており、対象だけに敏感に反応する化合物が数多く合成されていますが、チップに落とし込むには扱いづらいものがほとんどです。一方、基板の開発側は、抗体や酵素といった既存の高価で保存が難しい試薬を想定して、設計を進めています。こうしたミスマッチを防ぐために、新しい試薬の開発とそれに合うチップの設計をトータルに考えて取り組んでいます。

将来どうなる?

将来は、特定の物質を検出できる試薬が入った、インクジェットプリンターのカートリッジのような商品が家電量販店で売られ、自宅のプリンターで紙に印刷するだけで、誰でも分子センサーを作製できるようになるかもしれません。食品の安全性を調べたい時、自分の健康状態を調べたい時、発展途上国で水質を調べたい時、それぞれの目的に合わせて専用の溶液を買ってくるだけで、特別な知識なしに検査でき、安心して暮らせる、そんな未来を描いて開発を進めています。

 

液体だけでなく気体の分析ができる分子センサーも、生まれてくるでしょう。空気中の分子はすぐに拡散してしまうので、組成と濃度を測ることは難しく、これまで簡便な機器としてはガス検知器や火災報知機、アルコールチェッカーくらいしかありませんでした。

また、医学分野での応用も期待されています。実は、人間は病気をすると微妙に代謝が変わります。犬ががん患者の体臭を嗅ぎ分けることは知られています。臭いの変化を分子センサーでキャッチできるようになれば、診断に使えるようになるかもしれません。

他のカードとの相性は?

例えば…

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痛みなしで体液を採取し、簡単に健康診断。

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海底のリアルタイム環境調査。

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劣化を化学的にリアルタイムで診断。

分子センサー

プリンターで印刷した、シート状の分子センサー