研究道具箱 カードと研究

持続社会

リモートセンシング

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研究概要

TAKEUCHI Wataru

東京大学 生産技術研究所

竹内 渉

TAKEUCHI Wataru

専門分野:環境・災害リモートセンシング

研究室WEB

地球が抱える問題を宇宙から探る

どんな技術?

リモートセンシングとは、人工衛星から地球表面を撮影し、変化やその原因を探る技術です。遠い(リモート)ところから測量(センシング)するという意味で、地球上で直接測量するダイレクトセンシングよりも、全体像を捉え、問題を発見しやすいという利点があります。撮影は、可視光や赤外線、レーダーなどさまざまなカメラを駆使して行い、ぱっと見ただけではわからない情報を、画像解析によって引き出しています。

 

私は主に陸上の変化を追っています。人口が増加し、土地の利用方法は急激に変化しています。都市環境は変化し、森林の伐採と農地の拡大が進み、地球温暖化は止まらず、連動して自然災害が頻発しています。二酸化炭素濃度の上昇や交通渋滞、海を漂うプラスチックごみなど、山積する問題の背景には、人間の活動があります。リモートセンシングは、人間の活動が自然環境に与える作用の証拠を提示し、問題の「理解」を助けます。

 

しかし、問題の「解決」には、現地で原因を探り、地元の人の声に耳を傾けて解決策を話し合うコミュニケーション能力が求められます。例えば、森林がなくなった原因が、火災なのか、人の手による伐採なのかを明らかにするためには、現地調査が欠かせません。また、東南アジアや南アジアの国々と協力していますが、国によって土地利用の方針は異なるため、どこでも通用する解決法は存在しないということを痛感しています。

将来はどうなる?

衛星の画像データは、かつては軍事目的の利用が中心で、限られた人しか使えませんでした。しかし最近は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の地球観測衛星「ランドサット」のデータをはじめとして、無料公開されています。衛星の打ち上げにかかるコストも下がってきており、最新のカメラを積んだ衛星群が宇宙空間に並ぶ未来がやってきます。これからは、データが溢れる世の中になっていくでしょう。

 

異なる性質を持ったデータを組み合わせれば、木を1本単位で、温度を1℃刻みで、把握できるほどの「超」解像度で、地球の状況を把握することができるようになります。見えていない問題が次々に姿を現すでしょう。大事なことは、並行して、問題を解決する活動も急ピッチで進めること。科学の役割を超え、人々が行動を変える強力な動機付け(インセンティブ)を生み出す策も、考える必要があります。

 

人間の知恵は、技術の進歩のように指数関数的には増えません。その点、日本の研究者たちには強みがあります。日本には、大気汚染や公害を乗り越えてきた歴史があるからです。そういった実績に裏打ちされた知恵を学び、自国が抱える課題を解決するために、アジアの国々から多くの留学生が日本に来て、研究に取り組んでいます。将来、留学生たちが各国に戻って中心的な役割を担い、世界規模のネットワークで問題の「理解」と「解決」に挑むことを期待しています。

他のカードとの相性は?

例えば…

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生物が分子センサーを使って環境を把握する術を学び、リモートセンシングを進化させる。

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木の成長度を把握し、最高価格の時期に間引いて建築材に。林業を応援し、森林を保全する。

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シミュレーションと解決策の試行、観測による影響評価を繰り返し、問題の解決へ。