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専門家解説
どんな研究をしているのですか?
私たちは、海から、食料やエネルギーなど豊かな資源を利用しています。北澤研究室では、環境や生態系との調和を保ちながら資源を利用する手法を開発しています。例えば、養殖用の「浮沈式いけす」もその1つ。周囲の生態系を崩さず、温暖化などの環境変化にも強い、海の食料生産システムをめざしています。実物のおよそ1/10~30のいけすを50mプールほどの巨大な水槽に沈め、人工的に起こした波や水流の中での振る舞いを観察し、数値計算を繰り返したあと、実際に海で数ケ月にわたって養殖し、機能を検証しています。
実際に「赤潮で養殖魚が大量死」は起こるのですか?
養殖の現場での問題の一つは、「自家汚染」です。与えた餌の2~3割程度しか魚の成長として回収できず、残りの7-8割は排泄物や残餌として海に捨てています。これが栄養となり、プランクトンが異常増殖して養殖魚の酸欠等を引き起こし、周囲の環境もダメージを受けてしまう赤潮被害が繰り返し起きてきました。
どうしたらこのピンチを回避できるのでしょう?
さまざまな対策が考えられますが、基盤として赤潮の発生を予測する技術は欠かせません。衛星データを使い、海面の色や水温などの情報から予測することができるようになってきました。その上で、異常増殖したプランクトンを物理的に、化学的に、あるいは生物的に駆除する方法が考えられますが、実現するには時間もコストも大幅におさえる工夫が必要です。一方、発生した赤潮から養殖魚を退避させる工夫も考えられます。網を深さ方向に長くして、魚が赤潮の発生していない深さに移動できるように配慮したいけすがあります。私たちの研究室では、数値シミュレーションやモニタリングで赤潮の位置を監視しながら、いけすの深さ(垂直方向)を変化させる、「逃げ回れる」いけすを開発しています。将来的には、水平方向に移動できるいけすが開発されるかもしれません。また、ヨーロッパでは海の深層水を取り込み、表層からプランクトンや寄生虫が入らないように膜などで隔離されたいけすも作られています。
今まさに進めている研究は?
発生した赤潮の対策はもちろんですが、そもそも、餌が環境の中でうまく循環利用されることが、環境や生態系との調和を保つために重要です。そこで北澤研究室で進めているのが「Integrated Multi-Trophic Aquaculture」(複合養殖)です。海中でギンザケなど養殖魚を育てる一方で、海底でナマコやギンポなどを育て、これらに養殖魚の排泄物を吸収させる方法です。いわば養殖場周辺にミニ生態系を作るのです。餌に含まれる物質が環境内でどう循環し、生物がどう成長するのか、モデルを作り、数値シミュレーションを行っています。そして実際に、生物種の組み合わせや餌の組成、いけすの位置を変えながら、海中の酸素濃度や生物の成長具合をモニタリングしています。海水温が1℃異なるだけで、適した生物種は変わります。最新のIT技術と連携し、常に正確に海水温を測定しながら、地域に合った複合養殖を考える必要があります。育てる生物種がおいしいことも重要。あなたはどんな魚を食べたいですか?