研究道具箱 カードと研究

持続社会

再生可能エネルギー利用ヒートポンプ

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研究概要

OOKA Ryozo

東京大学 生産技術研究所

大岡 龍三

OOKA Ryozo

専門分野:都市エネルギー工学

研究室WEB

身のまわりの熱を賢く利用

どんな技術?

ヒートポンプとは、周囲から熱をかき集め、移動させる技術のことです。内部に熱を運ぶ物質(冷媒)が循環しており、これを圧縮すると、運ばれる熱も濃縮され高温となり、この熱を取り出すことで暖房や給湯に利用することができます。熱を取り出した後の冷媒を膨張させると低温になり、再びまわりの熱源から熱を集める働きをします。ヒートポンプの中では、これが繰り返し行われています。

 

従来のヒートポンプは、大気中の熱を利用するものがほとんどでした。今、注目を集めるのが「地中熱」と「太陽熱」の2つの再生可能エネルギーの利用です。地下10メートルほどの深さまで管を埋めて冷媒を流すと、年間を通してほぼ一定の温度になって戻ってきます。安定して熱を利用できる反面、地中では熱が伝わりづらいため管付近の温度変化が元に戻りにくく、一度に大量の熱を交換できないというデメリットもあります。一方、屋上に管をはわせて冷媒を流せば、太陽光で温められ、大量に熱交換できるものの、利用の可否は天候と時間に依存します。そこで、これら身のまわりの熱を賢く組み合わせて利用する制御技術を開発しています。太陽光発電も組み込み、自立した空調管理と電力供給システムを持った、環境にやさしく災害に強い建物を目指しています。

将来はどうなる?

現在は、冷暖房共用のヒートポンプが主流です。しかし、実は冷媒の封入量や熱交換器の大きさなど、冷房用、暖房用それぞれに最適化すれば、エネルギー効率をさらに高くすることができます。再生可能エネルギー利用ヒートポンプシステムが普及し、市場が拡大すれば、用途別にヒートポンプが進化していくかもしれません。

 

また、システムに人工知能を導入し、測定した環境情報をもとに将来の室温の変化を予測し、消費電力を抑えながらも快適さを保つ最適なパターンで各設備をコントロールする「総合システム」が開発されつつあります。災害時に外部からの電力供給が途絶えても、自力で熱とエネルギーを確保し、居住者の快適な暮らしを守るビルや家屋が当たり前になる日が来るかもしれません。

他のカードとの相性は?

例えば…

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建物内の電力供給と消費を同時に制御

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様々なセンサーと連携し、精度よく環境測定

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さらに効率のよい太陽光発電へ

再生可能エネルギー利用ヒートポンプ

東京大学柏キャンパスにある試験建屋「REハウス」。地中熱と太陽熱を利用するヒートポンプと太陽光発電が実装されています。