研究道具箱 とは?

コンセプト

このゲームは、2019年に東京大学 生産技術研究所で生まれました。最先端の科学や技術を自分の道具として自由自在に扱い、日常的な困りごとから地球規模の課題まで、自分ごととして解決方法を探る体験を手軽に楽しんでもらいたいという思いから、誕生したものです。

このゲームでは、最新技術を学び、工学研究者の思考を疑似体験することができます。参加者は5つの技術をなかば無理やり組み合わせ、与えられたピンチを切り抜けるアイデアをひねり出します。グループでゲームを行う場合には、他の参加者とアイデアの説得力を競います。「何をもって解決とするか」という枠組みを設定し、さまざまな分野の最新技術や知識を組み合わせ、他者の発想の豊かさと価値観の多様さに触れながら課題解決のアイデアを創出する流れは、研究者の思考と重なります。

このゲームのもう1つの醍醐味は、研究の最前線にアイデアを届けられることです。技術は、それぞれの専門家が個々に定めた枠組みの中で開発されています。しかし、思いもかけない課題を解決するために、かけ離れた技術と組み合わせることで、専門家が気づきもしなかった新発想が生まれるかもしれません。参加者のアイデアは、このウェブサイトを通じて、東京大学 生産技術研究所の研究者に届けられます。

ぜひこのゲームを楽しみ、最新技術と工学の思考に触れ、研究者も驚く斬新なアイデアを残していってください。

Point 01

なるほど!
最新技術と
工学的思考に触れる

テスト問題には正解がありますが、現実に直面する課題の解決はそう簡単ではありません。このゲームでは、自分でゴールを設定し、技術を組み合わせ、課題をとりまくさまざまな価値観に配慮しながら解決策を探ります。工学的な思考を身につければ、もはやどんなピンチも怖くない?

Point 02

えっ、そう来る?
先人たちの
アイデアにワクワク

最新技術は専門家だけのものではありません。このゲームでは、具体的な技術を使ってあなただけのサイエンスフィクションを紡げます。正確な理解は不要。これからの技術革新に期待して自由に発想を膨らませましょう。先人たちの突拍子もないアイデアにも、刺激を受けること間違いなし。

Point 03

これ、どう?
斬新なアイデアが
研究をサポート

あなたのアイデアは、このウェブサイトを通じて東京大学 生産技術研究所の研究者に届けられます。ピンチをどんな視点で解決したいのか、どんな技術の組み合わせで何を成し遂げたいのか、専門家には思いつかない柔軟なアイデアを届け、次世代の技術開発の起爆剤に!

カードゲームの遊び方

STEP 1

日常から地球規模まで、
多様なピンチと出合う

「今月のピンチ」「学校編」「会社編」「人間関係編」「家・まち編」「日本・地球編」から挑戦したいカテゴリーを選びましょう。カテゴリーに属するピンチがランダムに1つ、提示されます。

STEP 2

技術を組み合わせ、ピンチを
切り抜けるアイデアを考える

ランダムに表示される5枚の技術カードを好きな枚数使い、与えられたピンチを切り抜けるアイデアをひねり出しましょう。あなただけのサイエンスフィクションを紡ぐ感覚で!

STEP 3

アイデアを発表する
(Twitterでも発信しよう!)

あなたのアイデアを発表しましょう。先人たちのアイデアも覗いてみましょう。「あのピンチだったら」「あの技術カードが使えたら」——ピンチと技術カードとの一期一会を楽しむ再挑戦も大歓迎。

カードの種類

カードは全部で52枚。東京大学 生産技術研究所で今まさに研究まっただ中にある、最新技術が紹介されています。

紹介されている技術は、工学のほぼすべての分野をカバーしています。用途例をもとに、IT(青)、健康(ピンク)、持続社会(緑)、安全・安心(黄)の4分野におおまかに分類されています。

分野だけではなく、それぞれの技術が使われる環境もさまざまです。原子や分子といったミクロな世界で活躍する技術から、都市・地球・宇宙レベルの世界を対象とする技術まで、幅広い技術が並んでいます。

出合うことの少ない、異なる分野や異なる環境の技術を組み合わせ、これまでにない新技術やアイデアをぜひ考え出してみてください。

活用事例

ワークショップ
「もしかするちば~自然×科学×まちづくり~」
@千葉県 千葉市

SDGsとまちづくりをテーマに、中学生を対象にカードゲームを行いました。2020年9月12日(土)、千葉県 千葉市で開催されたワークショップ「もしかするちば~自然×科学×まちづくり~」の一部として開催したものです。

技術を組み合わせ、「教育のシステムがさらに高度になり、あたまのいいひとがたくさんいるまちになる」「ごみの量が少なくなり、リサイクルが発達したまちになる」など、バラエティ豊かな未来の千葉の姿が描き出されました。

オンラインワークショップ
「カードゲーム!最先端技術でピンチを切り抜けろ」

最先端の研究成果を紹介するトークイベントとの組み合わせにも挑戦しました。2020年10月23日(金)・24日(土)に、東京大学柏キャンパス一般公開2020の一環として、「災害に強い養殖」「AIを活用した材料開発」「感染症」「洪水」をテーマに、研究者も交えてZoom上で開催、YouTubeライブでその様子を配信しました。

「感染症」に対して、「水循環の予測」で地域の湿度を予測して感染しにくい湿度の高い日を選び外出、「光触媒」でウイルスを除去、「分子センサー」で体調をリアルタイムでモニタリング、などさまざまなアプローチが提案されました。

ライブ中継!
最新技術で漁師町の未来をどう変える?

ピンチに立ち向かう当事者とともに解決法を探るカードゲームも行いました。2020年11月16日(月)に、科学技術振興機構(JST)主催の科学コミュニケーションイベント「サイエンスアゴラ2020」に参加し、和歌山県和歌山市の加太という漁師町に暮らす漁師や料理人の方々とともに「魚が獲れなくなってきた」というピンチを切り抜ける方法を考えました。

「自律型海中ロボット」で漁礁の海洋ゴミを回収する、「空間構造」と「炭素繊維強化プラスチック」で波に強い船を作る、大量に魚がとれた場合に「浮沈式いけす」でしばらくいかしておく、「光触媒」で魚の感染症を防ぐなど、現場で直面する具体的な課題が浮き彫りになりました。

実際に手にとって遊べるカードゲームもあります。教育目的に本カードゲームを実施されたい方は、「お問い合わせ」よりぜひご連絡ください。お貸し出しいたします。